マグネットポンプはなぜ壊れる?どうすれば故障を防げるのかをわかりやすく解説

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マグネットポンプはなぜ壊れる?

マグネットポンプを使用していて、次のようなお困りごとはありませんか?

  • ポンプから突然、異音や振動が発生した
  • モータは動いているのに液が送られない
  • ポンプや配管が熱くなった
  • 部品を交換しても同じ故障を繰り返している


マグネットポンプの故障は、ポンプ本体が原因とは限らず、液面の低下や配管状態、バルブ操作、異物の混入など、運転条件に起因するケースも多くあります。
そのため、故障した部品やポンプを交換するだけでは、原因が解消されず、同じトラブルを繰り返す可能性があります。

このコラムでは、故障のサインや主な原因、故障を防ぐためのポイントを解説します。

目次
  1. マグネットポンプはなぜ壊れるのか
  2. 故障のサインと原因・対応
  3. 故障につながる主な原因と仕組み
  4. 実際に見られる部品の損傷例
  5. マグネットポンプを壊さないための点検ポイント
  6. まとめ

1.マグネットポンプはなぜ壊れるのか

マグネットポンプは、モータの回転を磁力によってインペラへ伝えるポンプです。モータ軸がケーシングを貫通しないため軸封部がなく、液漏れしにくい構造が特長で、薬液などの移送に適しています。

マグネットポンプを正常に運転するには、ポンプ内部に十分な液を供給し、吸込から吐出しまでの一連の流れを滞りなく維持することが重要です。

運転中のポンプ内部では、ポンプシャフトと軸受が摺動しながらインペラを回転させています。このとき摺動部では摩擦熱が発生しますが、移送する液によって潤滑・冷却されるため、ポンプ内部に液が供給される状態を保つ必要があります。

マグネットポンプの断面構造図

図:マグネットポンプの構造イメージ

しかし、ポンプ内部へ液が十分に供給されない状態や、液が正常に流れない状態で運転すると、潤滑・冷却が不足し、軸受やシャフトなどの内部部品が摩耗・変形することがあります。

また、ポンプ内に空気や異物が入り込んだ場合も、インペラの回転や内部部品の潤滑が妨げられ、異音、振動、吐出し量の低下などにつながることがあります。

このコラムでは、マグネットポンプの故障サインから考えられる原因と対処、故障につながりやすい主な運転トラブルについて解説します。

2.故障のサインと原因・対応

マグネットポンプの主な故障サインは、異音、振動、吐出し量の低下・不安定化、ポンプ本体や配管の温度上昇、液漏れ、揚水不良・不能、運転不良・不能です。

これらの症状が現れた場合は、運転を続けず、症状から考えられる原因や直前の運転状況を確認し、安全を確保したうえで適切に対応することが重要です。

故障のサイン 現象 考えられる
主な原因
異常に気づいた
ときの対応
異音がする 「カラカラ」「ガラガラ」「ゴリゴリ」など、正常運転時には聞こえなかった音が発生する ・空運転
・エアー噛み運転
・異物(スラリー)の混入
など
ポンプを停止して、槽内の液面、配管内への空気の混入、ストレーナの目詰まり、異物の混入を確認してください。
振動が大きくなった ポンプ本体や配管が、正常運転時より大きく振動する ・エアー噛み運転
・異物(スラリー)の混入
など
ポンプを停止して、配管内への空気の混入、異物の混入、ポンプ本体や配管の固定状態を確認してください。
吐出し量が低下した・
安定しない
吐出し量が以前より少ない、吐出しが途切れる、流量が安定しない ・エアー噛み運転
・異物(スラリー)の混入
・脱調
など
ポンプを停止して、槽内の液面、バルブの開閉状態、配管内への空気の混入、ストレーナの目詰まりを確認してください。
ポンプや配管が
熱くなった
ポンプ本体や配管の温度が、正常運転時より高くなる ・空運転
・締切運転
・エアー噛み運転
など
むやみに触れずポンプを停止して、液が十分に供給されているか、吐出し側のバルブが閉じていないか、配管内に空気が入っていないかを確認してください。
液漏れが発生した ポンプ本体や配管の接続部から液が漏れる ・締切運転
など
ポンプを停止し、使用液に適した保護具を着用してください。周囲の安全を確保したうえで、ケーシング、配管、接続部の変形や損傷を確認してください。
揚水できない・
運転不能になった
ポンプを運転しても液が送られない、またはポンプが運転できない ・空運転
・エアー噛み運転
・異物(スラリー)の混入
など
ポンプを停止して、槽内の液面、バルブの開閉状態、配管内への空気の混入、ストレーナの目詰まり、異物の混入などを確認してください。
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「いつもと音が違う」「流量が安定しない」など、わずかな変化でも異常のサインである可能性があります。

症状だけで原因を特定することはできません。複数の原因が関係している場合があるため、異常が発生する前の運転状況や、槽内の液面、配管、バルブ、ストレーナ、使用液の状態なども併せて確認し、原因が分からないまま運転を継続しないでください。

3.故障につながる主な原因と仕組み

マグネットポンプの故障につながりやすい主な原因は、空運転、締切運転、エアー噛み運転、異物(スラリー)の混入です。

これらの運転状態が続くと、ポンプ内部の潤滑・冷却不足による温度上昇、部品の摩耗・変形などが発生し、故障につながることがあります。
ここでは、それぞれの原因と故障に至る流れを解説します。

■空運転

空運転とは、ポンプ内部に液がない状態、または液が十分に供給されていない状態で運転することです。
マグネットポンプの軸受やシャフトは、移送する液によって潤滑・冷却されるため、ポンプ内部に液が十分に供給されない状態で運転を続けると、摺動部で発生する摩擦熱によって軸受部の温度が上昇し、インペラやケーシングなどの樹脂が変形・溶融するおそれがあります。

ポンプ内部の液不足
→
冷却・潤滑不足
→
軸受部の温度が上昇
→
部品の変形・溶融

空運転の原因と対策を詳しく見る

■締切運転

締切運転とは、ポンプの吐出し側の流れが止まった、または著しく制限された状態で運転を続けることです。 吐出し側のバルブ閉止だけでなく、配管の閉塞や弁類の作動不良などによっても発生します。
締切運転下では、吐出し側の流れが止まっていてもインペラは回転し続けます。 そのため、ポンプに加えられたエネルギーは液の撹拌や内部摩擦によって熱に変わり、その熱がポンプ内部を循環する液に蓄積し、液温が上昇します。
この状態が続くと、ポンプ内部や吐出し側配管の温度が上がり、ケーシングや配管などの樹脂の変形・損傷につながります。

吐出し側の流れが
止まる
→
液体を吐き出せない
→
内部で液が循環し
温度が上昇
→
部品の変形・損傷

締切運転の原因と対策を詳しく見る(近日公開)

■エアー噛み運転(非自吸式ポンプ)

エアー噛み運転とは、吸込側などから多量の空気が入り込み、液体と空気が混ざった状態でポンプを運転することです。ポンプ内部への液の供給が不安定になることで潤滑・冷却が不足し、軸受部の温度上昇や部品の変形・溶融につながることがあります。

ポンプ内部に
空気が入る
→
液の流入が
不安定になる
→
冷却・潤滑不足で
軸受部の温度が上昇
→
部品の変形・溶融

エアー噛み運転の原因と対策を詳しく見る(近日公開)

■異物(スラリー)の混入

異物(スラリー)の混入とは、移送液に含まれる異物がポンプ内部に入り込み、軸受やシャフトなどの摺動部に噛み込む状態です。
異物が摺動部に噛み込むと、摩耗や詰まりによってポンプの回転が妨げられ、揚水不良につながることがあります。

ポンプ内部に
異物が入り込む
→
摺動部に噛み込む
→
摩耗・詰まりが発生
→
揚水不良

異物混入の原因と対策を詳しく見る(近日公開)

4.実際に見られる部品の損傷例

マグネットポンプで見られる代表的な損傷には、軸受やシャフトの摩耗・損傷、インペラやケーシングの変形・損傷などがあります。

空運転、締切運転、エアー噛み運転、異物(スラリー)の混入などが続くと、ポンプ内部の部品に摩耗や変形、破損が生じることがあります。ここでは、代表的な損傷例を紹介します。

マグネットポンプの軸受に見られる摩耗・損傷例
軸受の摩耗・損傷

軸受の表面に、削れ、溝、欠け、摩耗による段差などが見られる状態です。

関係する主な運転状態: 空運転、エアー噛み運転、異物(スラリー)の混入など

マグネットポンプのシャフトに見られる摩耗・損傷例
シャフトの摩耗・損傷

軸受との接触部に、傷、細り、偏摩耗、変色などが見られる状態です。

関係する主な運転状態: 空運転、エアー噛み運転、異物(スラリー)の混入など

マグネットポンプのインペラに見られる変形・損傷例
インペラの変形・損傷

羽根や接液部に、欠け、変形、擦れ、異物の噛み込みなどが見られる状態です。

関係する主な運転状態: 締切運転、異物(スラリー)の混入、異常発熱など

マグネットポンプのケーシングに見られる変形・損傷例
ケーシングの変形・損傷

表面に、変色、膨れ、亀裂、熱による変形などが見られる状態です。

関係する主な運転状態: 空運転、締切運転、異常な温度上昇など

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損傷の状態だけで原因を特定することはできません。複数の原因が関係している場合もあるため、故障前の運転状況や使用液、配管、液面なども併せて確認してください。

5.マグネットポンプを壊さないための点検ポイント

使用タイミング別の点検ポイント

マグネットポンプの故障を防ぐには、運転中の異音・振動・流量・圧力・電流値などを確認するとともに、ポンプ本体や配管、ストレーナなどを定期的に点検することが重要です。

■日常・運転時の点検

  • 異音・振動: 正常運転時と異なる音や振動がないか確認します。
  • 流量・圧力: 吐出量や圧力が安定しているか確認します。
  • 電流値: モータの電流値に大きな変化がないか確認します。
  • 液面・バルブ: 槽内に十分な液量があり、吸込側・吐出側のバルブが正しい状態になっているか確認します。
  • 液漏れ・温度: ポンプ本体や配管の接続部からの液漏れ、 ポンプや配管の異常な温度上昇がないか確認します。

■定期点検

  • ストレーナやフィルターに目詰まりがないか確認します。
  • 配管や接続部に緩み、劣化、変形がないか確認します。
  • ケーシングや内部部品に変色、摩耗、変形、損傷がないか確認します。
  • タンクや配管内に汚れや異物がたまっていないか確認します。
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正常運転時の流量、圧力、電流値、音、振動などを記録しておくと、通常時との違いを比較しやすくなり、異常を早期に発見しやすくなります。

点検の頻度は、使用液の性質、運転時間、液温、異物の有無などによって異なります。設備の使用状況に合わせて、点検や清掃の周期を設定してください。

流量・圧力・電流値などを計器で監視することで、運転状態の変化を早期に察知し、ポンプの故障を未然に防ぐことができます。

6.まとめ

マグネットポンプを長く安定して使用するには、 使用条件に合ったポンプを選定し、正常運転時の状態を把握しながら、異常の早期発見と適切な点検を行うことが重要です。

正常運転時との違いに気づいた場合は、 そのまま運転を続けず、安全を確保したうえで早めに点検してください。

関連コラム

空運転、締切運転、エアー噛み運転、異物(スラリー)の混入については、以下の各コラムで詳しく解説しています。