
マグネットポンプを使用していて、次のようなお困りごとはありませんか?
マグネットポンプの故障は、ポンプ本体だけでなく、液面や配管、バルブ操作、異物の混入など、運転条件が原因となっていることがあります。
故障した部品やポンプを交換するだけでは、原因が解消されず、同じトラブルを繰り返す可能性があります。
このコラムでは、故障のサインや主な原因、故障を防ぐためのポイントを解説します。
異物(スラリー)の混入とは、移送液に含まれる異物がポンプ内部に入り込み、軸受やシャフトなどの摺動部や流路に噛み込んだり、付着したりする状態です。
異物がポンプ内部に入り込むと、摺動部の摩耗や流路の詰まり、インペラの回転阻害などが発生し、吐出し量の低下や揚水不良につながることがあります。
この状態が続くと、軸受やシャフト、インペラなどの内部部品が損傷し、運転不能になるおそれがあります。
異物(スラリー)がポンプ内部に混入する主な原因は、移送液中の固形物、槽や配管内に堆積した異物、設備部品の劣化片、ストレーナやフィルターの不具合などです。
異物は、もともと移送液に含まれている場合だけでなく、設備内部に堆積したものが運転中に流れ出したり、配管や部品の劣化によって発生したりすることもあります。
■移送液に異物・スラリーが含まれている
移送液に砂、結晶、金属粉、樹脂片などの固形物が含まれていると、液とともにポンプ内部へ流れ込みます。
■槽や配管内に異物が堆積している
槽の底や配管内部に沈殿・堆積した異物が、運転開始時や流量や撹拌状態の変化によって巻き上がり、ポンプ内部へ流れ込むことがあります。
■配管・設備部品の劣化片が混入する
配管やタンク、ガスケットなどが劣化すると、剥離した樹脂片やシール材などが液中に混入することがあります。
■ストレーナ・フィルターに不具合がある
ストレーナやフィルターが破損している、取り付けられていない、または適切に機能していない場合は、異物を十分に除去できないことがあります。
■清掃・メンテナンス後に異物が残っている
配管工事や清掃、部品交換のあとに切粉やシール材などが残っていると、運転再開時にポンプ内部へ流れ込むことがあります。



図:異物の混入によってポンプ内部の損傷が進行するイメージ
複数の原因が重なって異物が混入することもあります。移送液の状態だけでなく、槽や配管内の堆積物、ストレーナ・フィルターの状態、設備部品の劣化なども併せて確認することが重要です。
異物(スラリー)がポンプ内部に混入したときの主なサインは、異音や振動、吐出し量の低下・不安定、揚水不良、電流値の変化などです。
異物が摺動部や流路に噛み込んだり、インペラの回転を妨げたりすると、正常運転時とは異なる変化が現れることがあります。普段の運転状態と比較しながら、次のようなサインがないか確認することが重要です。
| 主なサイン | 確認される状態 |
|---|---|
| 異音・振動が発生する | 異物が摺動部や回転部に噛み込むと、「ガリガリ」「カラカラ」など、正常運転時には聞こえなかった音が発生したり、ポンプ本体や配管の振動が大きくなったりすることがあります。 |
| 吐出し量が低下・不安定になる | 流路やインペラ周辺に異物が詰まったり付着したりすると、液の流れが妨げられ、吐出し量が少なくなったり不安定になったりすることがあります。 |
| 揚水できない | 異物による詰まりや回転阻害が大きくなると、十分に液を移送できず、揚水できなくなることがあります。 |
| 電流値が変化する | 異物によってインペラの回転が妨げられると、モータにかかる負荷が変化し、正常運転時とは異なる電流値を示すことがあります。 |
これらのサインは、異物混入以外の異常でも現れることがあります。異音や振動、吐出し量、電流値などに通常運転時との違いが見られた場合は、運転を続けず、速やかにポンプを停止してください。
異物混入による異常に気づいたら、まずポンプを停止し、十分に安全を確保してから、槽内や配管、ストレーナ、ポンプ内部に異物がないかを確認します。原因を解消するまでは再運転しないことが重要です。
異物が残ったまま運転を続けると、摺動部の摩耗や流路の詰まり、インペラの回転阻害などが進み、内部部品の損傷につながることがあります。主な確認・対応項目は次のとおりです。
■ポンプを停止する
異音や振動、吐出し量の低下、電流値の変化などの異常に気づいたら、運転を続けず、速やかにポンプを停止します。
■槽内・吸込側を確認する
槽内に異物や沈殿物がないか、吸込口付近に異物が集まっていないかを確認します。
■配管・ストレーナを確認する
吸込配管やストレーナ、フィルターなどに異物の詰まりや破損がないかを確認します。
■異物を除去する
槽や配管、ストレーナなどに異物が確認された場合は、設備の手順に従って異物を除去し、再びポンプへ流れ込まない状態にします。
■ポンプ内部の部品を確認する
異物がポンプ内部まで入り込んだ可能性がある場合は、軸受やシャフト、インペラなどに摩耗、傷、変形、異物の噛み込みがないかを確認します。
■異物の発生源を確認する
移送液にもともと含まれていた異物なのか、槽や配管内の堆積物なのか、設備部品の劣化片なのかなど、異物が混入した原因を確認します。
■原因を解消してから再運転する
異物の除去と発生原因への対応を行い、ポンプや配管に異常がないことを確認してから再運転します。
ポンプの分解や内部点検、異物除去の方法は、機種や設備条件によって異なります。作業を行う際は、取扱説明書や設備の点検手順に従ってください。
異物混入を防ぐには、移送液や槽・配管内の状態を確認し、異物がポンプ内部へ流れ込まないように管理することが重要です。
運転前の確認に加え、ストレーナやフィルターの設置・点検、槽や配管の清掃、異物の発生源への対策などを組み合わせて、ポンプ内部への異物混入を防ぎます。
■移送液の状態を確認する
移送液に砂、結晶、金属粉、樹脂片などの固形物が含まれていないか、または通常より多く含まれていないかを確認します。
■槽内の堆積物を確認する
槽の底や吸込口付近に異物や沈殿物が堆積していないかを確認します。
■ストレーナ・フィルターを確認する
ストレーナやフィルターに目詰まり、破損、取り付け不良などがないかを確認します。
■メンテナンス後の異物残留を確認する
配管工事や清掃、部品交換を行ったあとは、切粉やシール材などが設備内に残っていないことを確認してから運転します。
■ストレーナ・フィルターを使用し定期的に点検する
移送液に異物が含まれる可能性がある場合は、使用条件に合ったストレーナやフィルターを設け、異物がポンプ内部へ流れ込むのを抑えます。
また、ストレーナやフィルターは、目詰まりや破損によって異物除去機能が低下しないよう、定期的に状態を確認し、必要に応じて清掃や交換を行います。
■槽・配管を定期的に清掃する
槽や配管内に異物や沈殿物が蓄積しないよう、設備の使用状況に合わせて定期的に清掃します。
■外部からの侵入を防ぐ
屋外に設置してある槽の場合は、槽に蓋を設けたり、液面上部にネットを張るなどの対策を行います。
■異物の発生源を減らす
配管やタンク、ガスケットなどの劣化状態を点検し、剥離片や破損した部品が液中へ混入しないようにします。
■堆積物の巻き上がりを抑える
槽内に沈殿物が生じる場合は、吸込口の位置や流れの状態などを確認し、堆積した異物がポンプへ流れ込みにくい設備条件を検討します。
■摺動部のない竪型ポンプへの置き換えを検討する
異物やスラリーの混入が避けにくい設備では、使用条件に応じて、液中に摺動部を持たない構造の竪型ポンプへの置き換えを検討します。異物が摺動部に噛み込むことによる摩耗や損傷のリスクを抑えることができます。
■空転防止装置で異常運転を監視する
空転防止装置を設置し、ポンプの運転状態を監視します。異物の噛み込みや詰まりなどによって通常時とは異なる運転状態を検知した場合にポンプを停止できるようにすることで、異常運転の継続によるポンプ内部の損傷を防ぎます。
必要な対策は、異物の種類や大きさ、濃度、移送液、ポンプの機種、設備条件によって異なります。使用条件に合わせて、ストレーナ・フィルターの仕様や点検方法、ポンプの構造、異常運転の監視方法を検討してください。
異物(スラリー)の混入は、移送液に含まれる固形物や、槽・配管内に堆積した異物、設備部品の劣化片などがポンプ内部へ入り込むことで発生します。
異物が摺動部や流路に噛み込んだり付着したりすると、摩耗や詰まり、インペラの回転阻害が発生し、吐出し量の低下や揚水不良、内部部品の損傷につながることがあります。
異物混入を防ぐためのポイント
異物混入によるトラブルを防ぐには、日常的に移送液や槽、配管、ストレーナなどの状態を確認し、異物がポンプへ流れ込む原因を早めに把握することが重要です。異音や振動、吐出し量の低下など、通常運転時との違いに気づいた場合は、そのまま運転を続けず、ポンプを停止して点検してください。
マグネットポンプの故障原因や、空運転、締切運転、エアー噛み運転については、以下のコラムで詳しく解説しています。