
マグネットポンプを使用していて、次のようなお困りごとはありませんか?
マグネットポンプの故障は、ポンプ本体だけでなく、液面や配管、バルブ操作、異物の混入など、運転条件が原因となっていることがあります。
故障した部品やポンプを交換するだけでは、原因が解消されず、同じトラブルを繰り返す可能性があります。
このコラムでは、故障のサインや主な原因、故障を防ぐためのポイントを解説します。
空運転とは、ポンプ内部に液がない状態、または液が十分に供給されていない状態でポンプを運転することです。
マグネットポンプの軸受やシャフトは、移送する液によって潤滑・冷却される仕組みです。
ポンプ内部に液が十分に供給されない状態で運転を続けると、摺動部で発生する摩擦熱によって軸受部の温度が上昇し、インペラやケーシングなどの樹脂が変形・溶融するおそれがあります。
空運転の主な原因は、槽内の液面低下、吸込口の露出、吸込配管・ストレーナの詰まり、吸込側バルブの閉止、起動時の液不足などです。
槽内の液がなくなった場合だけでなく、さまざまな原因によってポンプ内部に必要な量の液が供給されなくなることで空運転が発生します。
■槽内の液面低下
槽内の液量が減り、液面が吸込口より低くなると、 ポンプ内部へ液を供給できなくなります。
■吸込口が液面より上に出ている
液面の変動などによって吸込口が液面から露出すると、 液を吸い込めない状態になります。
■吸込配管・ストレーナの詰まり
配管やストレーナが異物などで詰まると、 槽内に液があっても必要な量を吸い込めません。
■吸込側バルブの閉止
吸込側のバルブが閉じている、または十分に開いていない場合は、 ポンプ内部へ液が供給されません。
■ポンプ内部に液が満たされていない状態で起動した
ポンプ内部や吸込配管に液が満たされていない状態で起動すると、 運転開始時から空運転が発生します。
■液切れに気づかず運転を続けた
運転中に槽内の液がなくなったあともポンプを停止しない場合は、 液切れ後に空運転へ移行します。
代表的な原因は、次のように槽内の液面が低下し、 吸込口が液面から露出してしまうケースです。
図:空運転によってポンプ内部の損傷が進行するイメージ
複数の原因が重なって空運転が発生することもあります。槽内の液面だけでなく、吸込配管、ストレーナ、バルブなど、吸込側の状態も空運転の原因になります。
空運転の主なサインは、異音、ポンプや配管の温度上昇、揚水不良・運転不能です。
異常を早期に発見するためには、普段の運転状態と比較しながら、次のようなサインがないか確認することが重要です。
| 空運転のサイン | 現場で確認される状態 |
|---|---|
| 異音がする | 「カラカラ」「ガラガラ」など、正常運転時には聞こえなかった音が 発生することがあります。 |
| ポンプや配管が熱くなる | 液による冷却が行われないため、ポンプ本体や接続配管が 通常運転時より高温になることがあります。 |
| 揚水できない 運転不能になる |
液が吐出されないほか、内部部品の変形や固着によって、 ポンプが正常に回転しなくなることがあります。 |
これらのサインは、空運転以外の異常でも現れることがあります。
異常に気づいた場合は、まずポンプを停止してください。
空運転の異常に気づいたら、まずポンプを停止し、十分に冷えてから槽内の液面、吸込配管・ストレーナ・バルブ、内部部品の状態を確認します。原因を解消するまでは再運転しないことが重要です。
原因が分からないまま再起動すると、内部部品の損傷が進行する可能性があります。主な確認・対応項目は次のとおりです。
■ポンプを停止する
異常に気づいたら、運転を続けず、速やかにポンプを停止します。
■ポンプ本体や配管が冷えるまで待つ
空運転によってポンプや配管が高温になる場合があります。温度が下がるまで、むやみに触れないようにします。
■槽内の液面を確認する
槽内に十分な液量があるか、吸込口が液面から露出していないかを確認します。
■吸込配管・ストレーナ・バルブを確認する
吸込配管やストレーナに詰まりがないか、吸込側のバルブが正しく開いているかを確認します。
■自吸式ポンプは呼び水が確保できていることを確認する
自吸式ポンプの場合は、ポンプ内部や吸込配管が液で十分に満たされていることを確認します。
■部品を確認する
軸受やシャフト、インペラなどの内部部品に、熱による変形・損傷や異常がないかを点検します。
■原因を解消してから再運転する
空運転の原因を解消し、ポンプ内部に必要な量の液が供給されていること、ポンプや配管に異常がないことを確認してから再運転します。
点検方法や再運転の判断は、ポンプの機種や設備条件によって異なります。使用しているポンプの取扱説明書や、設備の点検手順に従ってください。
空運転を防ぐには、運転前に槽内の液量や吸込側の状態を確認し、運転中は液面・流量・圧力・電流値などの変化を監視することが重要です。
日常的に確認する項目と、設備面で検討したい対策を整理します。
■槽内の液量を確認する
槽内に十分な液量があり、運転中に液切れを起こすおそれがないことを確認します。
■吸込口が液面下にあることを確認する
液面が低下しても吸込口が露出しないよう、吸込口の位置と液面の高さを確認します。
■吸込配管・ストレーナ・バルブを確認する
吸込配管やストレーナに詰まりがなく、 吸込側のバルブが正しく開いていることを確認します。
■自吸式ポンプは呼び水が確保できていることを確認する
自吸式ポンプの場合は、ポンプ内部や吸込配管に液が十分に満たされていることを確認し、 ポンプを起動します。
■液面を監視する
液面センサーなどを設置し、槽内の液面低下を早期に検知できるようにします。
■液面低下時にポンプを停止させる
液面が設定値を下回った場合に、インターロックによって ポンプが自動停止する仕組みを設けます。
■流量・圧力・電流値を監視する
流量計・圧力計・電流監視装置などを使用して運転状態を確認し、通常時と異なる変化を早期に察知できるようにします。
■吸込配管やストレーナを定期的に清掃する
異物の堆積によって吸込流量が低下しないよう、 吸込配管やストレーナを定期的に点検・清掃します。
必要な監視項目や停止条件は、使用するポンプ、移送液、 配管条件、運転方法によって異なります。 設備の使用状況に合わせて、確認項目や対策を設定してください。
マグネットポンプの空運転は、ポンプ内部に液がない状態、または液が十分に供給されていない状態で運転することで発生します。
空運転が続くと、液による潤滑・冷却が行われず、軸受やシャフト、インペラなどの内部部品が摩耗・変形・固着するおそれがあります。
空運転を防ぐためのポイント
日常の確認に加え、液面センサーやインターロック、流量・圧力・電流値の監視などの設備対策を取り入れることで、空運転の早期発見と再発防止につながります。ポンプの機種や設備条件に合わせて、適切な点検方法と運転管理を行うことが重要です。
マグネットポンプの故障原因や、締切運転、エアー噛み運転、異物(スラリー)の混入については、以下のコラムで詳しく解説しています。